キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「お待たせいたしましたー。チーズケーキでございます」


さほど時間もかからず運ばれてきた生クリームが添えられているチーズケーキにフォークを刺す。そして一口大に切って口に放り込む。


「ケーキ。うまい?」


頬杖をついて私の返事を待つ皐月。私の答えなんか、とっくに分かりきっているんでしょう。


「……美味しい」


「よかったじゃん」


改めて思う。皐月には、敵いません。私の負けだと白旗を揚げて、またチーズケーキを一口食べて舌鼓をうった。




―――――――――――


―――……


ガタン、ガタン、ガタン。


揺れる電車内、ドアに寄りかかりつつ窓から差し込む夕日に目を細める。明日歌とは乗り換えの駅で別れたから今は1人でいるわけだけど。


「……はぁ……」


周りに聞こえない程度に浅く溜息を吐いた。頭の中で再生されるのは、あのカフェでの出来事だ。

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