キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



—――俺には不釣り合いな北欧風のカフェに入り明日歌を弄り楽しみつつライチティーを飲んでいる最中。


「……最近さぁ、思うんだよね」


表情を少し真剣なものに変え、話を切り出された。『何だよ』と聞けば『藍の家や春さんとの問題も、浅野さんと皐月の関係のことも、碧音君のことについても進展して、そのおかげで皆楽しく過ごせてると思う』と柔和な笑顔で語った。


こいつは何も考えてなさそうで頭の中はお花畑だし救いようのない変態だけど、本当はちゃんと人のことを見てる。そんで、しっかり相手のことを考えてる。


だから星渚や藍、碧音、勿論俺だってこいつに心を許せるんだよな。


「続けばいいのにね、この時間が」


そう言葉を溢す透歌が、あまりにも慈愛と感傷が混ざり合ったような、切ない顔をするから。……思わず抱きしめたくなった、とは口が裂けても言えねぇ。


「お前も感傷に浸ることってるのかー。『こんな時間か続けばいいのに』って格好いいこと言っちゃうようになったのかー。先輩は涙が出そうだ」


芝居がかった仕草をすれば『白々しいな!』となかなかキレのあるツッコミが返ってきた。


「でもさぁ、このままの時間が続いて本当にいいわけ?」


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