キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
穏やかな時間が続いて皆が笑っていられたらいい、その考えは分かる。でもそれじゃ、俺らの関係も、距離感も。このままってことだろ。
ざわり、胸の奥で燻る感情が存在を主張し始める。
「お前、碧音とこのままでいいのかよ」
「ちょっ、ななな!まじでか今それ言う?!今それ言う雰囲気だった?!」
あわあわと忙しなく瞳を泳がせたり口をパクパクさせたりと落ち着きをなくす。分っかりやすいよなー、お前。
「碧音君にはキュンキュンさせられっぱなしだよね」
頬を両手で包み、デレデレと頬を緩ませっぱなし。もっと引き締まった顔しろ。
碧音君の色気はね、と更に語ってくるからまじかよとドン引きすればさすがにこれ以上は止めた方がいいと察したらしく『まあ碧音君の色気については置いといて』と話を元に戻した。
「碧音君って、危ういところあるから。自分が無理しててもそれに気づかないんだよね。皐月も分かるでしょう?」
「昔からずっとやってきたことは簡単には直らねぇからな。自分で立たないと、頑張らないとって自己暗示みたいに身体に刷り込んできた」
だから人に上手く弱音を吐けなくて、ずっと頑張り続ける。
俺や星渚や藍だって大学生活があるからいつも一緒にいるわけじゃねぇし、そういうところは直していけよって今までも言い聞かせてきてるんだけどな。