キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
明日歌は、『自分が碧音に大丈夫だよって言って立ち止まらせてあげたい』と強く言う。きっと今、こいつの頭には碧音が浮かんでいるんだろう。
――――そして。
「もう。碧音君に対しての気持ち、再確認させないでよね」
照れくさそうな、それでいて愛のこもった笑顔。チリチリと、酷く胸が焦がれた。もう、誤魔化せねぇじゃねえか。
明日歌の『今の時間がずっと続けばいいのに』この言葉に焦ったのは。今の関係も距離感も変わらずこのままなことに困るのは、俺だった。
あー、くそ。
「私と碧音君の関係が気になるなんて、もしや皐月私に惚れちゃってるな?」
バカみたいに下手くそなウィンクして髪を後ろに払ってみせる。お前ね、人をむやみに煽るんじゃねぇよ。
「そうだ、って言ったら?」
「――……ん?」
少し、賭けに出てみることにした。どんな反応をするのか、試してみたくて。
「さ、皐月さん?」
壊れたロボットみたいに動きも喋りもぎこちなくなり、俺が嫉妬しているのは碧音と明日歌が仲良くしてるせいだとか苦し紛れの言い訳を並べてる。