キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


……そうじゃねぇのに。お前って、ほんと。


明日歌に対して切羽詰まった思いをしていた自分が何だか急にバカらしくなり『ぎゃはは!!』笑ってしまった。


「ちょっと、驚かさないでよ!!本気で心配しちゃったじゃん!」


「いやー、笑った笑った。冗談で聞いたつもりだったのに、お前真剣に受け止めるからさぁ」


「誰だってあんな真面目な表情で言われたら本当なのかなって騙されるよ!あーもう、質悪すぎ」


むすっと口を尖らせ文句をぶつけてくる。でもさ、もしここで俺が冗談だって言わなかったらそれはそれでお前もっと困ってただろ。


「人をからかうにも限度ってものがあるでしょ!?」


眉を寄せ頭に角が生えそうな勢いで喋ってくるから、今回は悪いことしたなと思って『ごめん、悪かったって』と謝るも聞こえないフリしていじけたまま。


こういう時は甘やかしてご機嫌取りするのが1番効果的だ。


「何か奢ってやるから」


「どうしようかなぁ」


「じゃあ特別、ケーキ頼んでもいいぞ」


ケーキ、その単語に分かりやすく反応する。ケーキの誘惑に釣られないわけがないもんな。

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