キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「ちょっとスキンシップが激しいんじゃないですか!?ここはアメリカじゃありません」
「別にいいじゃなーい。再会の感動を味わってるだーけ」
感動を味わうために抱きつく必要あるの?碧音君もいつものツンはどこへいったんですか。ジェラシーを感じてじれったくなっていると。
「つーか明日歌てめぇ、何で俺らに自分は昔バンドやってましたとか言わなかったんだよ!余計ややこしくなっただろうが」
ガシャン、ブランコから降りた皐月に指をさされる。
「だって言う必要ないかなって。私、昔は自分が歌うことでせいいっぱいで他のバンドは気にしてなかったからmidnightの存在も知らなかった。意図的に隠してたわけでも嘘ついてたわけでもないよ」
「でも明日歌ちゃん、俺らと初めて会った時『今回がライブ初めてなんです』って言ってなかった?」
鉄棒に寄りかかり長い脚を組み替える藍。
「それはライブを観る側として初めてってことで。他のバンドのライブを観に行ったこともなければ同じライブに出演してるバンドのライブもあんまり聞いたことなかった。ちゃんと自分でチケット買って列に並んでライブを観るのは、あれが初めてだったから」
まさしくあの時が、私にとってライブデビューだったというか。