キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「明日、碧音暇?」
「暇。何で?どっか行く?」
「久しぶりに一緒に出かけようかなって思っ……いった」
急に香澄が目をパチパチして下を向く。
「んー?何か目に入った感じが……、コンタクトずれたのかしら」
「弄んないで」
碧音がぐっと香澄に顔を近づける。碧音、待って、それは――……まずいんじゃないかな。ちらっと明日歌ちゃんに目を向けるとガッツリこの様子を見ちゃってる。
目が笑ってないよ。『それ以上近づかないで!』って顔に書いてある。無理もないけど。
「……あ、治ったわ」
「やっぱコンタクトのせいだったんだ。気をつけなよ、目傷つく」
碧音は僅かに眉を下げ、心配そうな表情。これは本気で相手を気遣ってるときの顔だ。
「ちゃんとした店で買ったコンタクトを使うようにする」
「それがいい」
手を伸ばして香澄の顔にかかってる横髪を耳にかける碧音。その仕草、男の俺からしてもどこか妖艶というかなんというか。
一方明日歌ちゃんは嫉妬の色を瞳に滲ませていて。自分の意中の相手が他の相手にこの距離感じゃ、妬けるよね。