キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


さっきまで難しい顔をしていたのに、碧音の一言でぱぁっと明るくなる。碧音が素直に褒めることは少ないからね。


「明日歌の作る料理は昔から美味しかったもの。碧音の好き嫌いが減っていくのも当然よね。私も明日歌の手料理食べたいわ」


「香澄さんがよければ、いいですよ」


「嬉しいわ、ありがとう」


笑って香澄の要望に応える明日歌ちゃんのその笑顔は、はたして心の底から出たものなのか。


「明日歌の料理には負けるけど、私だって一応1人暮らししてたんだから多少は上手くなってるわよ。碧音、特別に食べさせてあげましょうか」


「胃薬用意しておかないと」


「失礼ね!薬なんて必要ないわよ!」


香澄が両手で碧音の頬を包み、ぎゅうっと真ん中に寄せる。


「サンドウィッチみたいな顔~。あははっ」


「はかなの。はなへ」


「ふふ、面白い」


くしゃりと笑って香澄は額を碧音のそれにくっつけた。窓から差し込む日の光がお揃いのピアスを輝かせる。ああ、これはさすがにまずい。色々まずい。

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