キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「そ……か、うん。そうなんだね」
「香澄は、俺の昔のこと知って色々と相談にのってくれたり、苦しいときは傍にいてくれた」
「……香澄さんは、優しいもんね」
なんだか急に、碧音君が遠のいていく気がした。私も、碧音君に仲間として認めてもらえて、過去も打ち明けてくれたけど。
それは香澄さんも同じで。でも私より碧音君と近い距離にいたのは、香澄さんの方だった。
「こういうこと聞いてくるってことは、やっぱ香澄と何かあったんだろ」
「ううん、ないよ。ちょっと気になってただけ。さー、早くお家帰ろう!お腹空いちゃった」
くるり、前を向いて歩き出す。
「碧音君、刹那家の今日の夕食は何ですか!」
「……、親子丼って言ってたけど」
「親子丼!和風だね、意外」
「意外って?」
「碧音君家オシャレだからさ、洋風なメニュー食べてるイメージ」
「家と飯は関係ないだろ」
家までの道のりを、適当な話題でやり過ごす。その間、私は碧音君の顔をまともに見れなかった。
―――好きな人に、大切な存在がいたらどうすればいいですか。