キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
【駆け引き】
「香澄さん、香澄さん」
私の手を握り、鼻歌を歌いながら歩く。
「あの、これ何なんですか?」
「なぁ~いしょ」
はぁ、と小さく溜息を吐く。昨日、香澄さんから話があると連絡がきて待ち合わせ場所に行ったら、『着いてきて』とだけ言われて半ば無理矢理連れ回されているわけだけど。
そろそろ、私をどこに連れて行こうとしてるのかくらいは教えて欲しい。
「香澄さん、困ります。話があるなら、そこら辺のカフェでいいじゃないですか」
「まあまあ、そんな不安そうな声出さなくても大丈夫よ。楽しいところに行くんだから」
「楽しい、ところ?」
って、どこですかそれは。大体、その楽しい場所に行きたいんだったら始めからもったいぶらずにそう言えばいいじゃないか。煮え切らない思いでいると、視界に観覧車が入ってきた。
……え、待って。このまま真っ直ぐ道を進んでいったら確実に。
「もしかして楽しい場所って、遊園地ですか?」
「ふふ、正解!そうよ、遊園地」
「何で遊園地に」
「いいじゃない、遊びましょうよ」