キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
皐月に途中で『大丈夫かよ、色々』と聞かれてドキリとしたけど笑って誤魔化した。
「私ジェットコースター乗りたい!あれにしましょう」
「香澄、急がなくても平気だって」
当然のように碧音君の傍にいるのは、香澄さんで。私がつけ入る隙なんてこれっぽっちもない。遊園地ってもっと楽しい気分でいる場所なはずなんだけどなぁ。
せっかく入園料払ったんだし、こうなったら楽しんじゃおう!と開き直ろうとすること3回目、ことごとく失敗。
「明日歌、見ろよあれ。後ろ向きで進むジェットコースター!」
ぽんぽん、皐月に肩を叩かれて『ぎゃぁああ!!』と絶叫が聞こえる方を向いた。
「絶対怖いよね。いつ落ちるとか分かんないし」
「絶叫は嫌いじゃねぇけど、俺もあれは無理だわー。お、向こうにも面白いやつあるな」
「うん、乗ってみたい」
皐月が話しかけてくれるおかげで、少しは気が紛れた。
香澄さんが乗りたがってたジェットコースターの列に並んでる間も、皐月が色々と話題を振ってくれて入園した直後よりは気分も上がってきて。
皐月との会話は全然途切れないし、素直に楽しいなとも思えた。ジェットコースターもその他のアトラクションも大抵4人一緒か、碧音君と香澄さん、私と皐月というペアが続く。