キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「自分で食べる」


「あ、もしかして間接キスが恥ずかしいのかしら。同じフォークだから」


「は?気にしてないし」


「碧音もそういうの気にするお年頃だものねぇー」


「冗談」


「いいじゃない、キスしたことだってあるんだし」


き、キスしたことあるんだし?碧音君と香澄さんが、キス。


「香澄、何言ってんの」


「そ、そうっすよ香澄さん」


「忘れたの?私と碧音で昔出かけたときー」


「香澄」


碧音君の声が少し低くなった。


「あはは、怒った顔しなくたっていいじゃない」


崖から、一気に落とされたような気分になった。皆の会話がよく聞こえない。2人で唇を重ね合わせるところがやけにリアルに想像出来てしまって。


さぞ絵になったことだろう。なんたって、碧音君と香澄さんだ。憧れのシチュエーションで?過去に、キスしたことがある?なんですか、それ。


そんな2人と一緒に遊園地を回っていることが、急にあほらしくなった。たとえ乗り気じゃないにしても成り行きでこうしてる自分が、心底バカみたいに思えてきた。


……何やってんだか。


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