キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「せいかーい!実は今度の休みに2人で映画観にいくことになってさ」
「え、うそ」
「本当!ずーっと誘い続けてようやく遊びに行けることになったんだよ!」
『ここまで……どれだけ苦労したことか……』としみじみ言う桐谷君の事情は大体予想がつく。
「菜流はいつでもお兄さん至上主義だからオッケーしてもらうために頑張ったんだね」
「分かってくれるか橘さん!いやー少しでも進展してよかったよかった!」
「いいなぁ……楽しそうで」
「ん?橘さんは楽しくない……っぽいね。何かあった?」
「色々ね、人間関係でありまして。私はどうすればいいのか」
碧音君のこと、香澄さんのこと。相手のためを想うなら、答えは見つかっているけれど。恋は難しい。
「ん~。あれだな、とにかく悩んだときは自分らしく。自分の軸を曲げない方法を選べばいいんじゃん?」
「桐谷君らしい答えだね」
「いっつも真っ直ぐな橘さんなら出来るって!」
二カッと笑う桐谷君。その笑顔を見てるだけで少し、どんよりしてた心が軽くなった気がする。答えを見つけることから逃げちゃダメだ。
たとえ時間がかかっても。
桐谷君にありがとうとお礼を言うと、また太陽みたいな笑顔が返ってきた。