キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
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皆が帰って誰もいない教室で席に座ってぼんやり窓の外を眺める。
桐谷君に言われたことを実践しなきゃと考えてるうちに放課後になってしまった。どうしようか。難しいな、なんてひたすらぼうっとしていると。
「明日歌?」
教室の後ろ側から声がかかる。振り向かなくなって誰かなんて分かりきってる。
「碧音君」
彼はゆっくり中に入ってきて、私の隣の机に浅く腰かけた。
「何やってんの」
「碧音君こそ。遅くまでどうしたの?」
「日直の仕事。雑用頼まれてて」
こうして近い距離で喋ったのはあのとき以来だ。
「そっかーお疲れさま。練習ないなら早めに直帰したほうがいいよ」
「お前は?」
「まだいるかなぁ」