キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
【加速】
「はい、コーヒーは微糖で良かったよね」
「正解。そんなことまで覚えていてくれたのね」
「覚えてるよ」
休憩中、スタジオの外に出て見学しに来ていた片瀬と2人でベンチに座る。
「で、私を呼び出た理由は?わざわざ外に出るってことは、碧音達に聞かせたくないってことでしょう」
グビグビとコーヒーを煽る片瀬。こんなペースで飲んだらすぐなくなるだろうに。
「そ。大っぴらにできる話でもないし、こっちの方が片瀬にとっても良いと思って」
最後の方を強調して言えば、片瀬は眉を吊り上げて早く話をしろと目で訴えてくる。
「片瀬さぁ。刹那と皐月と明日歌ちゃん誘って、遊園地に行ったんだって?」
「ええ。よく知ってるわね」
「皐月がなんとなく様子おかしかったから、色々と聞き出した」
「ふぅん」
「意地悪だよねぇ、お前」
「あら、星渚も誘って欲しかったの?」
「冗談」
白々しいな、俺が遊園地に興味がないことくらい、知ってるだろ。
「明日歌ちゃんのこと好きな皐月と、刹那のことを好きな明日歌ちゃんに、自分と刹那の関係を見せつけたかった?」