キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


香澄から一緒にアメリカに行ってボーカルやギターの修業をしてプロにならないかと誘われたのは、つい数日前。今すぐに決められる話じゃないからと返事はギリギリまで待ってもらってる。


「星渚達には、言ってあるんでしょう?」


「一応、言った」


皐月はこのタイミングだからこそ、宣戦布告なるものをしてきたんだろうな。


「何て言われたの?」


「俺の、好きなようにやれって」


「明日歌には言ったのかしら?」


「まだ」


はっきりと、言えなかった。香澄は目を伏せて頷き、肘かけの部分に腰を下ろした。


「ねえ碧音。迷う必要なんて、ないじゃない。昔約束したでしょう?2人で大きなステージに立とうって。私、碧音なら絶対プロになって活躍出来るって信じてるわ」


大勢の観客がいる中、眩しいスポットライトを浴びてドラムを叩く。


「私、碧音のこと好きよ。この気持ちはずーっと前から変わってないわ。碧音と、夢を叶えたいの。そのために日本に戻ってきたんだから」


香澄の指が、自分の指に絡まる。


「碧音だって、今よりももっと大きなステージに立ってみたいって思うでしょう?何を悩んでいるの?何が、決断を踏みとどまらせるの」


「……香澄と一緒の舞台に立ちたい、俺も、香澄と夢を叶えるためならどこにだって行く」


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