キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


「これ今日出さなきゃいけないやつだったから助かったよ。菜流、ありがとう」


ふわりと菜流を腕の中におさめて優しい声色で言う。こんな星渚さんの姿、ファンが見たら発狂するよね。しかしこれは菜流に対してしかやらないことで。


「……俺、星渚の唯一の残念ポイントはシスコンなとこだと思うわ」


「俺達が何を言っても、星渚には聞いてもらえないよ」


皐月と藍の呆れ半分の溜め息がこぼれた。香澄さんも星渚さんが重度のシスコンだと知っているからか、特に驚いてはいない。


「今度からは気をつけてね、お兄ちゃん?」


「……!菜流、それ他の男にはやってないよね?」


「してないよ。星渚にしかやらない」


「はぁー、菜流。可愛すぎ。天使」


至極真面目な表情と台詞がかみ合っていない。溺愛にもほどがある。


「ふふ、私も星渚のこと大好き。じゃ、書類届けたことだし、少し練習見てから帰るね」


「菜流……」


明らかに帰って欲しくないと顔に書いてある星渚さん。


「私がいつまでもいると星渚、集中出来ないでしょ」


それについては自覚しているため、星渚さんも渋々納得して首を縦に振った。私と菜流は練習室を出て、外から見学することに。


「今日、刹那いないね?代わりに女の人いるけど、あれ誰?」


「香澄さん。星渚さん達と昔から仲がいいんだよ」

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