キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】

はぁーと深い溜め息を吐く。碧音君の夢を応援したいのは事実だろう。だったら私はスタジオに行くべきじゃない。そうでしょう。


「……帰らなきゃなぁ」


くるり、踵を返して家に帰ろうとした。


「明日歌?」


「さ、皐月」


しかしなんというタイミング、ちょうどスタジオに行こうとしていた皐月と鉢合わせしてしまったのだ。


「何お前、帰んの?練習はまだ始まってねぇのに」


皐月達の今日の練習は確か17時から。なのにそれより早くスタジオと反対方向に行こうとしてる私は、皐月からしてみれば不思議でしかないんだろう。


「いや……、これは」


「もう碧音と藍はスタジオに着いてるって連絡来たし。見てきゃいいじゃん」


< 564 / 579 >

この作品をシェア

pagetop