キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「い、いかない」
「今日はお前の好きな曲練習すんだけど。それでも?」
「それでも帰ります」
帰る、と言えば皐月は黙り、私の手をとった。
「なんで行かねぇの?……ああ、行けないの間違いか」
「っ……」
「ビンゴ」
どうして自分はこうも表情に出やすいのだろうか。
「あれか、碧音のこと聞かされた?」
「うん」
「まあな、その話聞かされたら会いにくくなるか、お前は」
「…………」
「碧音のアメリカ行き、お前は反対?」
「わ、私は!応援するに決まってるでしょ」
「へぇー?」