キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
皐月の好き、が鼓膜を震わせた。皐月が、私のことを好きだと。
「皐月は、私みたいな子供は恋愛対象外じゃなかったっけ?」
「俺も最初は、頭ん中お花畑でアホなやつなんか眼中にねぇって思ってたけどな」
「ひど!」
「けど、お前が人のことをちゃんと考えて思いやれるやつだってこと。人の気持ちに寄り添ってやれる、ってこと知れて。だんだん惹かれていった」
「…………」
「そんなお前が、好きなんだよ」
「な、んでこのタイミングで言うの」
自分の気持ちに蓋をして、碧音君を応援しなきゃって決めたときに。
「このタイミングだからだよ」
「私は……」
「俺のこと、見ろよ」
真剣な眼差しの瞳と、視線が絡み合う。
「お前が俺のこと、恋愛対象に入れてねぇのは知ってた。どっかの誰かさんのことしか見てなかったもんなお前」
「……うん」