キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
お父さんは強面だけど、お母さんは優しそうで雰囲気が丸い人。
「それにしたって……」
写真の碧音君には、今の冷徹なオーラは微塵もなく、年相応の可愛らしさがある。
何故天使からドSになってしまったのだろうか、いやしかし発狂しそうなくらい色気のある碧音君も好きです。
そして左隣の写真は、碧音君が制服を着て舞い散る桜の花びらを背景に、校門の前に立っている写真。
制服が高校のものとは違うから、中学の頃のだ。うわ、中学の時からぐんと大人っぽくなってる。
これだけ周囲の子より垢抜けた綺麗な顔をしていれば、さぞかしモテたはず。思いがけず昔の碧音君を見ることが出来て嬉しい。
制服、ブレザーだったんだ。私のとこは学ランとセーラー服だったから、羨ましかったなあ。
そっかそっかと1人心の中で呟き、顔がにやけるのも気にしないで写真を見つめる。
――と。
「あれ」
ある一点に目が止まった。
おもむろに写真立てを手に取り、目を細め確認してみるも結果は同じ。
お父さんもお母さんも……でも、碧音君は。
「何してんの」