キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
ガラッ、スライドドアに手をかけ入ってきた碧音君の声に吃驚して『わっ!』と体がビクッとなる。
「碧音君、えっ、どうしたの?」
「携帯取りに来た」
流れる動作でローテーブルに置かれていたスマホを取り、私にちらつかせる。
「お前は何突っ立ってんの。宿題は」
「その前にこの写真、見せてもらってて」
「写真?」
こちらまで来た碧音君は、私が見ていた写真を一瞥。
「あのさ、碧音君――」
「写真見てないで、早く宿題やれば」
言葉を被せて言い放ち、私が持って来ていたバッグを指差す。
「うん、やる」
やるけどさ。
写真が気になり『碧音君』再度問いかけようとするも、『俺、戻るから』と表情ひとつ変えずに綺麗な手でドアを開け、行ってしまった。
写真立てを、裏返しにした後に。