キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
これは緩やかな拒否。
写真の話についてではなく、きっとあのことを聞かれることに対しての、だ。
写真をよくよく注意して見たら、誰でも不思議に思うだろう。ああ、一瞬感じた碧音君が線引きしたボーダーライン。
まあ、無理に問いつめる気なんて更々ないし、気になった程度だしね。
でも背を向けた写真立てに何だか心がチクッとしたから、ちゃんと前向きに戻しておいた。……うん、家族皆でせっかく笑って写ってるんだもん、こうでなくちゃ。
頷いて、自分のバッグから課題を取り出した。
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トン、トン、トン。
課題を終わらせ、地下室へ続く階段を下りる。
凄いよね。地下室まであるなんてさ。
星渚さんに言われた通りに廊下を進み、左側の部屋の扉を開けて端にある椅子に座る。