キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】


それと同時に、皆ほっとした表情になった。


「凄い良かったです!」


思わず立ち上がり、拍手を送ってしまう。パチパチパチ、私が手を叩く乾いた音が静かな室内に響き渡る。


「お前いたんかよ」


「途中からいました!」


皐月、やっぱり気づいてなかったみたいだ。


「どう言ったら良いのか分からないんですけど、こう、胸がぎゅーってなって。心が揺さぶられました」


的確で上手い言葉が直ぐに浮かばないので、身ぶり手振りで伝える。


「ったりめぇーだろ!俺らの曲だかんな」


「明日歌ちゃーん。あんまり褒めるとこいつ調子乗るから」


皐月の頭をバシバシ叩く星渚さん。私からすれば大人な皐月も、星渚さんと比べたら子供に思えてくる。


意外と1歳年上ってだけで、違うよね。


じゃれてる2人から視線を逸らし碧音君に移すと、『あっつ』と呟き服を摘んでパタパタ空気を送り込んでいた。


「あ、あああ碧音君今直ぐストップしてぇぇえ!パタパタするの止めてぇぇえ!!」


両手で顔を覆い隠す。


「は?」


< 62 / 579 >

この作品をシェア

pagetop