キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
それと同時に、皆ほっとした表情になった。
「凄い良かったです!」
思わず立ち上がり、拍手を送ってしまう。パチパチパチ、私が手を叩く乾いた音が静かな室内に響き渡る。
「お前いたんかよ」
「途中からいました!」
皐月、やっぱり気づいてなかったみたいだ。
「どう言ったら良いのか分からないんですけど、こう、胸がぎゅーってなって。心が揺さぶられました」
的確で上手い言葉が直ぐに浮かばないので、身ぶり手振りで伝える。
「ったりめぇーだろ!俺らの曲だかんな」
「明日歌ちゃーん。あんまり褒めるとこいつ調子乗るから」
皐月の頭をバシバシ叩く星渚さん。私からすれば大人な皐月も、星渚さんと比べたら子供に思えてくる。
意外と1歳年上ってだけで、違うよね。
じゃれてる2人から視線を逸らし碧音君に移すと、『あっつ』と呟き服を摘んでパタパタ空気を送り込んでいた。
「あ、あああ碧音君今直ぐストップしてぇぇえ!パタパタするの止めてぇぇえ!!」
両手で顔を覆い隠す。
「は?」