キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



「危ないよ碧音君!もはや犯罪級だよそれ。暑さでほんのり頬が赤くて首筋に汗が伝い、とどめに惜し気もなく晒される鎖骨、って艶かしい!」



「お前の思考が危うい」


「てめぇの変態度合いにどん引きだわ!」


皐月しょうがないんです、こればっかりは。碧音君の色気度数が半端なく上昇していて、私には刺激が強すぎる。


「明日歌ちゃん、顔真っ赤ー。純情じゃん」


「いやだって!碧音君が色男なんですもん!」


うわー、顔熱い。手で扇ぎ、火照った顔を冷ます。


「はは、碧音色男だってさ」


「褒められても嬉しくない」


碧音君は眉間に皺を寄せ、むすっとした表情。


「たっくよー。お前のコントにつき合ってる暇はねぇんだよ!他所でやってこいや」


「コントしてるつもりありませんけど!至って真面目ですけど」


「大体、碧音だって確かに色男だけどなあ、俺の方がモテるんだっつーの!」


「はんぁあ?皐月のどこら辺が色男なんですか?え、私分かんない」


「てめぇ年上バカにするとは良い度胸してんじゃねえか!俺がどれだけモテるか知らねえだろ。まじで3、4ヵ月に1回は告られるレベルだかんな!」


「リアルだなおい。でも碧音君は、その上をいく色男なんですーう」


バチバチ私と皐月の間で火花が飛び散る。星渚さんと碧音君はどうでもいいと言わんばかりに、別の話で盛り上がっていた。


「高校の文化祭の時なんかな、告白ラッシュだったんだぞ。ミスター候補の常連だったんだからな」


それならうちの高校にもある。誰が高校の中で1番格好良い男子なのか、1番可愛くて美人なのかを決めるイベントだ。


「くっ……それはすごい!」


「ほら、2人共終了。皐月も明日歌ちゃんも落ち着こうか、な?」


未だ猫のようにシャーッ!威嚇し合っている私達の間に入りケンカを止めるのは、1番精神年齢が大人な藍さん。


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