キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



「ごめんなさい、藍さん。私としたことが。反省してます」


「急に真面目ぶったって無意味だろ」


こんな私と皐月を見て藍さんは『兄妹みたいだね』クスリ、微笑んでいた。私も皐月もこんなやつと兄妹なんてごめんだと火花を散らす。


「練習再開するよー?皐月、準備」


「分かってるって」


星渚さんが声をかけ、皆さっきの位置に戻り練習開始。私も大人しく椅子に座った。


やっぱり皆オンオフの切り換えが早くて吃驚する。だってもう真剣な眼差しで、笑顔はないのだから。


長机に置いてある楽譜にはシャーペンで沢山線や言葉が書き込まれていて、傾ける情熱に尊敬するしかない。


多分これは碧音君のだな。ギターの楽譜を前に見せてもらったことがある。


演奏しているのはSPIDERのtrickで、敢えて不協和音が混じっているところがクセになる曲。


私も好きだ。この曲でライブしてる姿を想像しながら聞き入った。




―――――――――――――――――――

――――――…………



「藍さんは泊まっていかないんですか?」



< 64 / 579 >

この作品をシェア

pagetop