キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
何年も藍さんが努力しているのに、弟は全く変化がないなんてこと……。
『あの女のとこ行けば?』と言っていた際、“あの女”に憎悪が込められていたのも気になるけど、それは取り敢えず頭の片隅に置いておく。
「どうだかね。俺が見た限り、あれでも藍に対する雰囲気は柔らかくなった気ぃする」
「そうかー?俺分っかんね。碧音は?」
「さあ」
ですよねー。
先程から食べることに集中していた碧音君は、話の内容すらあやふやだろう。
「いけ好かないガキだ、あれは」
「皐月も大概人のこと言えないでしょー」
「中学の頃とか生意気そうですよね」
「ケンカ売ってんのかてめえら」
だって、友達とサッカーしてたらボールを窓ガラスに当てて割っちゃったとか、くだらない悪戯を先生相手に仕掛けて楽しんでたとかいうベタなことやってそうだもん。
「星渚さんは中学や高校の頃、どんな感じだったんですか?」
菜流からも、意外とその頃の話はされてないんだよね。
「至って真面目な生徒だったよー。平凡で、問題なく過ごしてた」
「んな訳ねえだろ!お前教師辞めさせ、」
「さーつき?黙ろっか」
「すみませんでした」
せ、星渚さん目が笑ってないです怖い!