キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
ガタン、お互い椅子を引いて座る。
「結婚しちゃうかもよ?」
そしたら今みたいに甘えることが出来なくなると思う。
親離れじゃないけど、星渚さん離れはいつするのかな?
「分かってる。甘えるのは、星渚が大学卒業するまでだってちゃんと決めてるよ」
放たれた言葉に、意外性しか感じられなかった。
「勿論、星渚の彼女になるなら私より美人で可愛くて、性格も良くなきゃ認めないけど」
「星渚さん、急に菜流が甘えてこなくなったら落ち込むんじゃない?」
案外、星渚さんの方が離れられないのかも。
「そんな星渚を振り向かせられるくらい、良い女じゃないとダメってこと!」
芝居がかった仕草で、人差し指を左右に振ってみせる。私、菜流の考え方好きだなあ。
「菜流より良い女が現れるの、当分先かもね」
「あははっ。何それ嬉しい」
笑う度、上下する肩に合わせてふわりと髪が揺れて可愛い。
「それより、明日歌はどう?刹那と仲良くなれた?」
「うーん……。私は全力で愛を伝えてるつもりなんだよ?でも、碧音君は離れてく気がしてさ」
私のアピールがまだまだ足りないってこと?
「それ、明日歌がグイグイ攻めすぎてるだけだから。伝え方間違ってるでしょ絶対」