キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
冷ややかな目線を向けられる。おかしいな。温もりのある、優しい視線を向けられたのいつだっけ。
「刹那は手強いよ。直ぐに自分の気持ちに応えてもらおうなんて、無理だから」
「や、やっぱり?」
「私のことも、ただの星渚の妹としか思ってないよ刹那は」
あっけらかんと言われた割に、内容は軽いものではなく。
菜流は本当は冷静で、いつでも客観的な視点を忘れないのだ。ただ、星渚さんが関わると話は別だが。
「私全然ダメじゃん。スタートラインにも立ってない!」
甘かった、私の考え。
ちょっと心配してくれたこともあるし、多少仲良くなったのかな、とか思い上がってた自分にビンタしてやりたい。
「まー、気長に焦らずやってくのが大切ってことだわ」
『あ、でも』と少し慌てたように付け加える。
「星渚達には懐いてるし、ちゃんと信頼してるみたいだから、心配しないで」
「それは、一緒にいたら伝わってきたよ」