キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
ぴょん、弾みをつけて立ち上がり伸びをする。菜流とももっと一緒に話していたかったけど、そう言うなら仕方ない。
「じゃあねー、明日歌」
「また学校でね!」
「碧音と進展しますように、って祈ってるからさ」
「うん。ありがと」
玄関のドアを開けた途端にもわっとした湿度の高い空気に包まれ『太陽は引っ込んでろ』と悪態づく菜流を見送り、私は夕飯の支度に取りかかるのだった。
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「あれ。碧音君、皐月は?」
「さあ」
夕飯の用意が出来たからさっき地下室に声をかけに行ったのに、まだ皐月がリビングに来ない。片付けしてるのかな。
「へーぇ。今度はドリアね」
冷えた麦茶の入ったグラスを傾け、一気に飲み干す星渚さん。CMに出演してそうだ。そして帰り支度をしている藍さんに声をかける。
「藍さん、これ良かったら持ち帰ってください」
持参したタッパーに多めに詰め込んだドリアを手渡す。
「いいの?」