キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
「どう?決まった?」
星渚さんは壁に凭れ、長い足を組む。
「私だったら、間奏部分を今より短くしてサビ前はテンポを早めてサビにもっていきますね。いっそのこと、サビ前はドラム音だけも良いかもしれません」
私の意見は両者どちらでもないもの。実際聞いて考えた結果、私はどちらもピンとこなかった。
だから敢えて違う提案をしてみたのだ。
「どうですか?」
ちょっとでしゃばり過ぎたかな。けど、そう思ったのは事実だし。皆、驚いた表情で目をパチパチさせている。
きょとん、とした碧音君可愛い!!写メ撮りたいむしろ一眼レフカメラで連写して部屋に飾りたいぃい!
「明日歌ちゃん……」
「……明日歌」
「やっぱり、ダメでしたか」
がくん、首を下げ項垂れた。
「っそれだよ、それにしよう!」
「もう一度決め、……え?」
「たまには良いこと言うじゃねえか!」
藍さんと碧音君に名前を呼ばれた時『私の案はボツだ』と思っていたのに、星渚さんの言葉を理解して『え?』と間抜け面してしまった。