朧咲夜ー番外篇ー【完】
「ねえ、斎月って料理もカンペキなの?」
咲桜は流夜宅へ、栗の渋皮煮を持って来た。
箏子から、友達に栗をもらったからおいでなさい、と呼ばれて行き、その作り方を教えてもらった。
とにかく手間がかかった。
鬼皮だけむいて渋皮を残すのは難しかったし、一晩は重曹につけておかないといけないそうだ。
でも、すごく美味しい。
流夜は甘いものが苦手ではないので、咲桜はもちろん、食べてほしくて持って来た。
流夜が吹雪のところ行くまでの、少しの時間。
初めて食べるようで最初は観察するみたいに摘まんで眺めていたけど、口に入れたら「美味しい」と笑みを見せてくれた。
ローソファに並んだ流夜に問いかける。
流夜は二粒目の渋皮煮を口に入れて、リスの頬袋のようになっている。
「うん? あれは料理はしないな」