朧咲夜ー番外篇ー【完】
「そうなの? なんでもこなしそうなのに……」
意外だ。
流夜といい斎月といい、この自称兄弟はやたらハイスペックだから。
愛子も流夜のことは「やろうと思えばなんだって出来てしまう」と評していたくらいだ。
「あー、そういう意味じゃなくてな?」
「? お料理が苦手ってことじゃないの?」
咲桜が首を傾げると、流夜は渋面を作った。
「えーとなあ……斎月は、レシピ通りに作ることは出来るんだけど、それ以上のことが出来ないって言うか……」
「それで問題ないじゃん?」
レシピ通りに出来ていれば、間違いもないだろう。
しかし流夜はまだ渋い顔をしている。
少し黙ったあと腹を決めたのか、その理由を話してくれた。