朧咲夜ー番外篇ー【完】
2 結婚のゆるし
咲桜と流夜は恋人だけど、別個人。
生き方が、生きる道がそっくり同じではない。
同じ時間を共有していても。
離れてみることで、見えていなかったものまで見えてくる。
もしお互い、その中で好意を持つ相手がいたなら、本来の運命はそちらへ繋がっていたのだと理解して、諦めようと思った。
でも、想い続けているしか出来なかった。
どうしても浮かぶのは咲桜の顔で。姿で。
一時も頭から離れてすらくれない。
どうしたらいいのかな。咲桜しかダメみたいだ。
卒業式、もしも咲桜が自分のところへ来てくれたら――そのときは、彼氏がいようが誰を好きでいようが、掻っ攫う。そう思って臨んだら。
現実の未来は想像より幸せだった。
頬をとらえて覗き込んだ瞳。
さすがに身長はもう止まったのか、そこに二年前との差は感じない。
けれど、白く透明な肌、光が強くなった瞳、女性らしく潤った唇。あ、やばい。無理矢理にでも触れたくなってしまった。