朧咲夜ー番外篇ー【完】
「どこ?」
「秘密―」
「……むー」
口を尖らせるマナちゃん。あはは。かわいー。
「……あんたはいつまで経っても変わんないわね」
「どうしたの? 急に」
水槽の回廊を歩いていると、マナちゃんが言った。
「んーん。いつまで経ってもバカみたいなマナちゃんマナちゃんって。……なんであんただけ、あたしが大丈夫なのよ」
マナちゃんの呟きは、何度も聞いている。
僕に聞こえないように言っているところを。
………そうだねー。
「それはさ、僕もマナちゃんが大丈夫じゃなくて、独りでいたかったってこと?」
「……流夜くんと降渡くんに感謝しなさいよ、吹雪。あんたが独りぼっちになってないの、二人の寛大な幼馴染心のおかげよ?」
マナちゃんに斜めに見上げられた。