朧咲夜ー番外篇ー【完】
僕はさ、別に自分がXYYだからっていう理由の逃げ道のために、結ばれることのない相手であるマナちゃんをすきなわけじゃないんだよ。
ただ、すきになっただけなんだ。
ずっと、たった一人しか見ていない人でも、すきになっちゃったんだ。
しょうがないでしょ。
失恋は、すきになった瞬間にしている。
でも、気持ちを捨てる気も、気を変える気もない。
マナちゃんが龍さんをすきな理由の一つが、僕が生まれるまで、天龍の郷でマナちゃんのことが大丈夫だったのが龍さんだけだから、っていうのも知ってる。
そして今日が、僕の誕生日だって知っている龍さんは、苦い顔で僕の依頼を請けてくれた。
僕がマナちゃんが――すきな理由、じゃなくて、大丈夫な理由は、もしかしたら今日生まれたから、なのかな……。