朧咲夜ー番外篇ー【完】
疑似、運命共同体、みたいな?
……もんでもないか。そんないいもんではないね。
マナちゃんは、僕がマナちゃんをすきなことは知っている。
知っていてこういう対応をしてくれる。優しいね。
龍さんも、マナちゃんが自分をすきなことは知っている。
知っていて、光子さん以外は特別にしない。むしろマナちゃんには厳しい。……優しいねー。
なんかどっかで――捨てられるものでもあったらいいのに。ヒトでも物でもさ。
「……ねえ吹雪。やな視線感じるんだけど」
「うん? あー、そうだねー」
ほんっと、うっざいなあ。
蹴飛ばして追い返してもいいんだけど――今日はせっかく、マナちゃんと一緒だ。
「――わっ⁉ ふ、吹雪⁉」
「追い返すため。我慢してね」
僕はわざとらしく、恋人らしく、マナちゃんの肩を抱き寄せた。
ナンパやろー共がどういう風に誤解してくれるかは知らないけど、このくらいはいいよね?
マナちゃんは恥ずかしそうに俯いている。