朧咲夜ー番外篇ー【完】
流夜の仕事の、メンタルへ負担、神経の使いようは並ではないだろう。
――それを承知で、咲桜はその世界に立つことを決めた。
眠そうな流夜をリビングまでつれてきて、ソファに座らせる。
まず手洗いとか、楽な格好に着替えもしてほしいけど、こういう疲れているときの流夜は、抱き付かせておくのが一番回復してくれる。
なので、気が済むまで抱き寄せられたままでいるのがいい。
「お疲れさま」
「うん。……あ、もう零時過ぎたか?」
「えーと、廻ってるよ」
首だけ巡らして、置時計で確認する。深夜零時五分あたりをさしている。
「咲桜、お返し」
「? なんの?」
咲桜を抱きしめていた流夜が、その腕(かいな)をほどく。
向かい合う形に座ると、流夜が鞄から包みを取り出した。