朧咲夜ー番外篇ー【完】
「なんのって、今年ももらったろ。バレンタイン」
「え……お返しって、ホワイトデーの? 私がもらっていいの?」
「咲桜以外に渡す奴はいないんだが……去年も、吹雪づてだけど渡したろ?」
届いてなかったか? 不安そうな顔をする流夜に、咲桜はぶんぶん首を横に振った。
「も、もらった! ちゃんとふゆちゃんにもらった!」
「うん。で、これは今年の。ちゃんと手渡せてよかったよ」
嬉しそうな顔をする流夜に、咲桜は照れてしまう。
手渡し出来ることが嬉しいのは、自分だけではなかった。
「ありがとう……」
「うん」
流夜の穏やかな笑みを見ていると、咲桜の心からはするりと言葉がこぼれてしまう。