朧咲夜ー番外篇ー【完】
「あの時は結構びっくりしたぞ? 最初に付き合うって話を聞いたときはすごい喜んでたから、どうしてこんな落差があんのか、って」
「あははははは」
もう明後日の方を向いて乾いた笑いしか出ない咲桜だ。
笑満が長年の片想いを実らせて遙音の彼女になったとき、最初にそれを知ったときはすごく嬉しかったのだ。
だが、そのあとに来たのは淋しさだった。
ずっと一番の友達だった笑満が、咲桜の『すぐ傍』にいないのが現実だと知らされて。
その前に咲桜は流夜と恋人だったので、先に笑満の『すぐ傍』からいなくなったのは咲桜だ。
なんでこんな感情を抱くのか不思議だった。でも、正直に淋しかった。
流夜は、意味不明なことを騒ぐ咲桜に愛想もつかさず受け止めてくれた。
現実を受け入れた先では、流夜をもっと好きになっただけだった。