朧咲夜ー番外篇ー【完】
「嫁入り道具、ですか?」
咲桜が流夜の嫁になったのは一年も前なのだけど……。
箏子は「まずは」と切り出した。
「これです。薙刀(なぎなた)。夫を追い出したいときに役立ちますよ」
「なんでいきなりそんな前提になるんですか! 師匠未だに私のこと嫌いですか⁉」
薙刀を渡され思わず受け取ってしまった咲桜だが、叫んでおく。
隣にいる流夜が吹き出した。
「おや」と柳眉をひそめる箏子。
「お前は巴形(ともえがた)より静型(しずかがた)の方が好みでしたか?」
「刃の問題じゃないですよ! 流夜くん追い出したりなんてしません!」
しかもこれ、練習用のものじゃなくて実戦用――しっかり刃のついているものだ。
ガチ過ぎる。
ちなみに、薙刀には大まかに二種類あり、刃の形で巴形と静型とにわけられる。