朧咲夜ー番外篇ー【完】
龍生から一発、拳骨が流夜の頭に落ちた。
「龍さん痛い」と、咲桜を抱きしめていた腕をゆるめて、龍生を恨みの瞳で見る流夜。
「見ろ。在義が、実は流夜のが自分の血縁じゃないかって悩んじまってるじゃねえか」
「なんで(ですか)?」
何人かの声が重なった。龍生は淡々と答えた。
「あいつ、桃子には常にそんな感じだったから」
「余計なことを言うんじゃない龍生!」
え。
在義が否定しなかった。
この面々は一応ではあるが、咲桜の生みの母親が亡くなっていることは知っている。
『桃子』というのが、母の名であると推察はつく。
「ちなみにわたしも桃ちゃんには在義兄さんみたいな感じだったわ!」
何故か偉そうに言ったのは、夜々子だった。