朧咲夜ー番外篇ー【完】


賑やかな部屋に、ノックの音が響いた。


式場の人で、準備が出来たか確認にきたという。


「ご案内いたします」
 

列席者と、新郎新婦は一度分かれることになった。


先に参列してくれるみんなが控室を出て、流夜と咲桜だけになった。


式場はタイトな時間設定で、流夜もすぐ出て行くという。


「あ、咲桜。言い忘れてた」
 

その直前に、ふと振り返った。


「うん?」
 

咲桜が顔をあげると、そっと囁いてきた。


「綺麗だ」


「―――」
 

さっきまで大丈夫だったのに、一気に顔が熱くなる。
 

咲桜はブーケを持ち上げて顔を隠した。


「……流夜くんも、かっこいいですよ」


「ありがとう。じゃあ、先行ってる」
 

その背を見送って、咲桜は唇を噛んだ。

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