朧咲夜ー番外篇ー【完】


今泣いたら、せっかくのメイクが崩れてしまう。


箏子が作ったドレスも汚してしまうと、必死に耐えた。
 

ずっとずっと、大すきだった。一度は、一緒にいてはいけないのだと思った。


それでも流夜は手を差し出してくれた。
 

こういう、結婚という形をとれなくてもいい。ただ、傍にいたい。


そう願って、進路を決めた。今まであった全部が、今日に繋がっている。
 

一つも投げ出さないで、いらないなんて言わないでよかった。


自分の命を嫌いにならないで、いらないなんて言わないで、よかった。
 

あなたがすきだと言ってくれた、この命。
 

愛しています。あなたの総てを。


だから、あなたが愛しているものを、私も愛していきたい。


あなたが選んだ世界。そこに、私も立って見せる。
 

だって、私の恋は、一生の中で流夜くんとの、一つだけだから。
 

……いつも、手を差し出してくれてありがとう。
 

私はこれからも、その手を取って行くね。

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