朧咲夜ー番外篇ー【完】
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式場の前の扉。父が待っていた。
並んで、静かにその時を待つ。
「在義父さん」
「うん? どうした。ちゃんと似合ってるよ?」
「ありがと。……私の父さんになってくれて、本当にありがとう」
「……今言うのは反則だよ」
「さっきはこういうの、言える雰囲気じゃなかったでしょ」
咲桜がくすっと笑うと、在義もつられたように頬を緩めた。
「まあ、賑やか揃いだからね」
「うん。私、華取の家で育って、ずっと楽しかった。だから、これからもよろしく」
「当然。いつまでも咲桜は俺の娘なんだから」
「うん。あとね?」
「まだあるのか?」
「雨の日、流夜くんと一緒にいさせてくれて、ありがとう」
――あの日、歯車は狂った。