朧咲夜ー番外篇ー【完】
17 咲桜はモテた? 咲桜・十九歳、流夜・二十八歳
平日のある日、咲桜は休日出の代休が出たので、多めの弁当を作って城葉犯研へ向かった。
運転免許を取ったので、その練習も兼ねている。
城葉犯研はそれに手頃な場所にあった。
顔馴染みになった昼間常駐の守衛さんに挨拶をして、ついでに差し入れのクッキーを渡した。
祖父ぐらい年の離れた守衛さんは、いつも穏やかだ。
流夜の室長室へ行く途中で研究員の一人に逢った。
差し入れに弁当を持って来たと言うと「全員室長室へ集めますっ」と宣言された。
どこかへ駆けだして行ったと思ったら、直後、棟内放送が響いた。
曰く、「咲桜さんが弁当持ってきてくれたぞー!」という、実に自由なものだった。
しかしこれも毎度のことなので、咲桜は苦笑して流夜の許へ向かった。
――そして現在。所長を除く、以下七人の研究員が室長室にいた。
「会議室かどっかで食えばいいだろ」
単に咲桜と二人がいい流夜が文句を言うが、誰もまともに取り合わない。