朧咲夜ー番外篇ー【完】
19 笑満と遙音の結婚② 咲桜、笑満・二十三歳
「やっぱり遙音くんにとっての家族って、先生たちなんだね」
コトン、と軽い音を立てて、リビングの机にマグカップが置かれた。
「え? どうしたの、急に」
ソファで仕事中だった遙音が顔をあげると、笑満が微苦笑した。
「だって、親族席にいてほしいって思うくらいなんでしょ?」
「それは……あいつらは、正直どういう名前がつくかわからない。師匠とか、先輩とか、そういう感じ――だけじゃ、ないから」
「うん。その答えが、『家族』なんじゃないかなって、思ったよ」
遙音が書類をどかしてスペースを作ったので、笑満は遙音の隣に座った。
「あたしの傍には咲桜がいたからさ、家族に必ず血の繋がりがいるとは思わないできたから。あ、先生たちが家族なのが嫌ってわけじゃないよ? むしろ、遙音くんを独りにしないでいてくれた先生たちには、感謝してる」