朧咲夜ー番外篇ー【完】


咲桜について流夜へ逢いに行ったことで、流夜を師事する遙音と再会できたのだ。


それまでだって、学内で先輩後輩として接する機会はあった。


でも、それは実っていなかった。
 

笑満は柔らかい笑みを見せた。


「そうだね。そしたら咲桜と先生――二人を引き合わせたマナさんには、あたしたちも感謝しなきゃだね」


「だね。今まで受けた被害を帳消しにしていいとか、神宮史上最大の感謝だよ、あれ」


「そんで今頃新しい被害が積み重ねってるんだろうね……」


「春芽さんだからしょうがないよ」
 

遙音は諦めた口調だった。


「あと、ごめんね? こんだけ仕事たまってて……」
 

遙音は机に積みあがった書類を見て、声のトーンが落ちた。


「神宮たちならこんなのすぐ片付けられるんだろうけど……」
 

自分たちの結婚式も前だというのに、こんだけ仕事積んでるって……。
 

意気消沈した遙音に、でも、と笑満が言った。

< 212 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop