朧咲夜ー番外篇ー【完】
咲桜について流夜へ逢いに行ったことで、流夜を師事する遙音と再会できたのだ。
それまでだって、学内で先輩後輩として接する機会はあった。
でも、それは実っていなかった。
笑満は柔らかい笑みを見せた。
「そうだね。そしたら咲桜と先生――二人を引き合わせたマナさんには、あたしたちも感謝しなきゃだね」
「だね。今まで受けた被害を帳消しにしていいとか、神宮史上最大の感謝だよ、あれ」
「そんで今頃新しい被害が積み重ねってるんだろうね……」
「春芽さんだからしょうがないよ」
遙音は諦めた口調だった。
「あと、ごめんね? こんだけ仕事たまってて……」
遙音は机に積みあがった書類を見て、声のトーンが落ちた。
「神宮たちならこんなのすぐ片付けられるんだろうけど……」
自分たちの結婚式も前だというのに、こんだけ仕事積んでるって……。
意気消沈した遙音に、でも、と笑満が言った。