朧咲夜ー番外篇ー【完】


流夜と咲桜は、見る人から見れば、一緒にいてもいい関係じゃないかもしれない。
 

二人の間にわだかまりや後ろめたさがないのは、傍にいてよくわかる。


お互い、引け目を感じる時間は終わったのだ。
 

自分や頼は咲桜のために、遙音や吹雪、降渡たちは流夜のために、二人が一番望んでいることを支えた。


父である在義が認めていたことが一番大きいかもしれないが、誰も、二人が一緒にいること、一緒になることを反対しなかった。
 

二人の結婚式のとき、ほぼ部外者といっていい弥栄旭葵も、咲桜と流夜は血縁だと知った。


詳細を知らない所為もあるだろうが、そのときの旭葵ですら、反対は言わなかった。
 

運命は、二人を引き離した。それでも咲桜と流夜はお互い以外を見なかった。
 

離れた手を、もう一度繋いだ。

 
咲桜と流夜が離れていた二年は、過去を解かすために必要だったのかもしれない。


「天命……」

< 214 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop