朧咲夜ー番外篇ー【完】


咲桜が式場を出るのを見た流夜はため息をついた。変らんのか、あいつは。


「龍さん、降渡頼む」


「おう」
 

と、蒼い顔の降渡を任せて咲桜が出たのとは反対の出口へ向かった。
 

降渡は、龍生に怒られてもネクタイを外さなかった。「遙音の式だから」の一点張りで。


その主張はいいが、もう少しマシな顔色で言ってもらいたい。


吹雪はこういうとき頼りにならないので、龍生に任せた。
 

式場の外には、遙音と笑満、その両親がいるはずだが――


「………」
 

流夜、思わず黙った。
 

咲桜が頼の胸倉を摑んで投げ飛ばすところだった。

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